“特定空き家”に認定されるとどうなる?

相続

今年の夏の甲子園も楽しくTV観戦しました。地元、日大三高惜しかった〜。現地に応援に行ったのが2年前、もはや懐かしいです。

甲子園が終わると秋の気配。現在、コスモス畑を育成中。種まきから草丈20cmほどになりました。なんとか猛暑を乗り切ってほしいので、夕方の水まきは欠かしません。

特定空き家とは

さて、今日は空き家問題に関するトピックスをまとめます。自治体から「特定空き家認定の通知」が届いたのだがどうしたらよいか、というご相談が立て続いたので、いよいよ空き家対策が現実化してきたなと感じます。

いわゆる空き家対策とは、平成27年に施行された次の法律に基づきます。

空家等対策の推進に関する特別措置法                          この法律は、適切な管理が行われていない空家等が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしていることに鑑み、地域住民の生命、身体又は財産を保護するとともに、その生活環境の保全を図り、あわせて空家等の活用を促進するため、空家等に関する施策に関し、国による基本指針の策定、市町村(特別区を含む。第十条第二項を除き、以下同じ。)による空家等対策計画の作成その他の空家等に関する施策を推進するために必要な事項を定めることにより、空家等に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって公共の福祉の増進と地域の振興に寄与することを目的とする。

空き家とは、次のように定義されています。

「空家等」とは、建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。第十四条第二項において同じ。)をいう。ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除く。

「特定空家等」とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又著しく衛生上有害となるおそれのある状態適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいう。

自治体からの通知を無視したらどうなるのか

さて、特定空き家に認定されるとどのようなことが起こるのでしょうか。

1.通知と報告

自治体は、特定空き家として認定した理由や、今後行うべき対策方法などの情報を所有者に通知します。所有者は通知内容に基づいた対応が求められます。

2.助言または指導

所有者には、空き家の適切な活用や対策(例:改修、貸出し、売却、解体)について助言や指導が行われます。対策は自治体との協議によって決定されます。

3.勧告

助言・指導にもかかわらず改善が見られない場合、自治体は正式に文書による勧告を行います。
勧告を受けた翌年から住宅用地の減税措置が受けられなくなり、固定資産税は最大6倍、都市計画税は最大3倍にまで引き上げられます。2023年12月から法律が改正され、管理不全空き家も軽減措置の対象から外れるようになりました。

4.命令

勧告を受けても空き家の状況が変わらない場合、自治体から所有者に対して改善命令が出されます。命令は行政処分に相当するため、これまでよりも重い処分(50万円以下の罰金など)が科せられます。

5.行政代執行

命令に従わない場合、自治体は行政代執行により、以下のような措置を講じます。

  • 自治体が空き家の解体や必要な措置を、所有者の許可なく実行する。
  • 住宅の解体などにかかった費用を空き家の所有者に請求する。

また、所有者不明または連絡不能の場合は「略式代執行」が適用され、自治体が一時的に費用を負担します。その後、所有者が特定され次第、費用が所有者に請求されます。

つまり、段階的にペナルティーを課され、最終的には解体された上に費用も請求されます。一般的な木造住宅の建物解体費は150万円くらいが相場ですから、これに罰金なども加わると最低でも200万円くらいかかることになります。

所有者が亡くなっていても推定相続人に通知が届く

ご自身の所有建物ではない場合でも、特定空き家の通知が届くケースがあります。

親族のどなたかが亡くなってしまい、相続登記されておらず、先順位の相続人が次々と相続放棄をしていたとすると、会ったこともない親戚の空き家について責任を負うことも考えられます。

身に覚えのない通知が突然来てはじめて親族が亡くなったこと、さらには空き家が放置されていたことを知るといったケースも珍しくありません。

自治体からの通知文書が届いたとしたら、必ず対応することが重要です。放置していると自治体から改善する意思がないと判断されてしまう恐れがあります。もし、ご自身で対処法が分からない場合も、まずは自治体の担当者へ連絡し、改善意思があることを伝えることが大切です。

場合によっては、相続放棄の手続きを取ることも有効です。

ただし、相続放棄者が相続開始を知ってから(このケースでは通知を受け取ってから)3か月以内に家庭裁判所に申述する必要があるので、速やかに対策をとることが大切です。

日本政府は、2025年には「その他」住宅の空き家を500万戸から100万戸抑制することが目標と掲げています。空き家の適正な管理が求められることはもちろんですが、誰も住まなくなった土地を再利用することで経済の活性化を図ることができればなお望ましいですね。


タイトルとURLをコピーしました