まずは戸籍を取得するところから

ツナグ相続

具体的な相続手続きは戸籍を取得し、家族関係を読み解いていくところから始まります。

法改正により便利になった戸籍の収集(広域交付制度)

銀行口座の手続きや不動産の相続登記をするにあたり、「被相続人(亡くなった方)の出生〜死亡までの戸籍謄本を集めてください」と言われます。昭和生まれの方なら2〜3通で済みますが、明治生まれの方ですと5〜6通は集めなければなりません。

では、どこに行けばよいのでしょうか。現在、主に以下の方法があります。

  1. 本籍地の市区町村役場またはコンビニ(マイナンバーカードがある場合)で取得する
  2. 本籍地以外の市区町村で取得する(広域交付制度)

以前は1.の方法しか認められていませんでしたので、戸籍を取得するには本籍地の役所に出向く(または郵送)必要がありました。ですが、この度の法改正により、2024年(令和6年)3月1日から、本籍地が遠方にある場合でも最寄りの役所で戸籍を取得できるようになりました。

これにより、戸籍の取得が格段に便利になりました。

本籍地がA市の場合、 A市以外の役所へ戸籍の請求ができますし、本籍地がA市→B市→C市などと転籍している場合でも、どこの役所からでもA市・B市・C市の戸籍の請求ができることになりました。

これまでですと、先ほどの例ように転籍を繰り返している場合、まず現在の本籍地であるC市の戸籍を取得→転籍元であるB市の地番を確認しB市へ戸籍交付請求、取得→転籍元であるA市の地番を確認しA市へ戸籍交付請求・・というように、時間も手間もかかりました。戸籍を集めるだけで1ヶ月くらいかかってしまうことも珍しくありませんでした。

広域交付制度を利用すると、遅くとも2週間ほどで全ての戸籍を揃えることができるようです。

ただし、請求できないケースもあるので注意が必要です。

兄弟、甥姪の戸籍は請求できない

そもそも証明書を請求できるのは、戸籍に記載されている方(その戸籍から除かれた方も含む)またはその配偶者の方、直系親族の方(父母・祖父母・養父母・子・養子・孫等)です。

相続の場面で兄弟などの戸籍が必要になった場合は、これまでどおり個別に請求する必要があります。

郵送請求や代理人による請求はできない

広域交付制度では、請求する人本人が最寄りの市区町村の窓口に出向く必要があります。

場合によっては当日中の交付ができず、後日の受け取りとなることもあります。急ぎの場合は、この点に注意が必要です。

また、マイナンバーカード、運転免許証、在留カード、パスポート等の官公署が発行した本人の写真が添付された本人確認書類が必要となり、保険証や年金手帳等の顔写真がない本人確認書類は、戸籍証明書の広域交付制度では使用することができません。

コンピューター化されていない戸籍や附票は取得できない

広域交付制度では、戸籍抄本、除籍抄本、戸籍の附票、コンピューター化されていない戸籍は取得できません。特に戸籍の附票は、相続登記の際に必要となる場合があるので注意が必要です。これらの書類が必要な場合は、従来通り本籍地の市区町村役場に請求する必要があります。

司法書士は職権で請求できる

もし、専門家に相続手続きの依頼をしているのであれば、その専門家により職権で戸籍を請求できる制度「職務上請求」があります。

根拠は戸籍法にあります。

職務上請求(戸籍法10条の2第3項)

 ・・・弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士又は行政書士は、受任している事件又は事務に関する業務を遂行するために必要がある場合には、戸籍謄本等の交付の請求をすることができる。この場合において、当該請求をする者は、その有する資格、当該業務の種類、当該事件又は事務の依頼者の氏名又は名称及び当該依頼者についての第一項各号に定める事項を明らかにしてこれをしなければならない。

弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、行政書士の8士業は職権で戸籍の請求ができることが定められています。

特別な委任状などは必要ありません。

これにより、全国どこの戸籍でも過不足なく戸籍を揃えることができます。受任した相続手続きに必要ならば、直系尊属のみならず兄弟姉妹などの傍系親族の戸籍も収集できるのです。

また、相続手続きに必要な住民票の写し(除票を含む)、戸籍の附票も全国どこのものでも取得できます。(ただし、印鑑証明書だけはご本人で取得していただく必要があります。)

平日に窓口に出向く時間がなかなか取れない方は、利用されるといいでしょう。

自治体によりオンライン請求も可能

また、自治体によりやり方は異なるようですが、オンラインでの請求も可能です。ただし、あらかじめ用意するものが多く、ハードルは高いかもしれません。

参考までに、私の居住する町田市ではLINEによる申請が可能とのことです。申請から1週間ほどで郵送されてくるようです。以下、町田市のHPより抜粋した申請にあたって必要なものです。

マイナンバーカード


本人確認のために利用します。
マイナンバーカード交付時に設定した署名用電子証明書(6桁から16桁の英数字のパスワード)が必要です。コンビニ交付利用時のパスワード(数字4桁)とは異なります。

スマートフォン

マイナンバーカードの署名用電子証明書の読み取りができるスマートフォンが必要です。

クレジットカードもしくはLINE Pay

手数料及び郵送料の決済に利用します。
利用可能なクレジットカードは、VISA、Master、JCB、American Express、Diners Clubです。

LINE Payアカウント

マイナンバーカードによる本人確認にLINE Payの機能を使用します。支払方法にかかわらずLINE Payアカウントの登録が必要となります。
LINE Payアカウント登録をしないで申請へ進むと、本人確認の際にLINE Pay登録画面に切り替わります。

町田市公式LINEアカウントの友だち追加

以下のいずれかの方法で、町田市公式LINEアカウントを友だち登録してください。

  • QRコードを読み取る方法
  • LINE IDによる「友だち検索」
  • 公式アカウント名称による検索

ご紹介したオンライン請求は、広域交付制度には利用できません。ご自身の現在の戸籍を取得する場合などに限られますので注意が必要です。

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