相続税の基本知識

ツナグ相続

大寒を過ぎ、少し寒さが和らぐような日も増えてきてほっとしています。真冬の厳しい寒さはやはり身体に応えますね・・

さて、相続と切っても切り離せない相続税についてお話していきます。私は税務の専門家ではないので深く踏み込むことはできません。なので、このくらいは知っておいた方がいいだろうという程度に留めたいと思います。

そもそも相続税の申告が必要なのか

相続税ってどのくらいかかるの?と皆さま気にされるところですが、相続税がかかるケースは実はさほど多くありません。国税庁の「相続税の申告事績の概要」によると、2022(令和4)年に相続税の対象となった人の割合(以下、課税割合)は9.6%(約10人に1人)、つまり国民全体の約10%にすぎないのです。

基礎控除の計算式は簡単ですから覚えておかれるとよいでしょう。

3,000万円+600万円×法定相続人の数

遺産の時価総額から債務や葬儀費用を差し引いて残った遺産総額が上記の基礎控除額を上回れば、相続税がかかりますし、下回れば相続税はかかりません。

具体的に計算します。下記の遺産があったとします。

  • 不動産の評価額:2500万円
  • 預貯金:1500万円
  • 株式:500万円

【相続人が妻・子2人の場合】

2500+1500+500 < 3000+600×3 ですから、相続税はかからないことになります。

【相続人が妻・子1人の場合】

2500+1500+500 > 3000+600×2 ですから、相続税はかかることになります。

配偶者控除はかなり大きい

さらに、相続人が配偶者の場合、配偶者控除が適用になります。

相続税の配偶者控除とは、配偶者が相続した遺産のうち、課税対象となるものが1億6000万円までであれば相続税が課税されない制度です。もし、1億6000万円を超えても配偶者の法定相続分までであれば相続税は課税されません。

先述の具体例で考えてみます。

遺産総額は 2500+1500+500=4500万円 ですね。

【相続人が妻・子1人の場合】

法定相続分は 妻:2250万円 子:2250万円 となります。そして、遺産総額から基礎控除額を差し引いた300万円について相続税がかかってしまいます。

ですが、妻と子の間で遺産分割協議をして、妻に全財産を相続させるとすれば、妻が4500万円の遺産を相続しても1億6000万円までは相続税はかからないことになります。

ただし、二次相続には注意が必要

二次相続とは、最初の相続が発生したあと、次に発生する二度目の相続のことです。たとえば夫が亡くなり、次に妻が亡くなったときに発生した相続を二次相続といいます。二次相続には、次のような注意点があります。

一次相続では妻と子が相続人となるケースでも、二次相続では子のみが相続人となり、相続人の人数が減ることになります。結果、基礎控除の額が減ることになり、高い相続税を支払わなければならない可能性があります。

また、一次相続の際は、相続税の配偶者特別控除があります。ただし子どもには配偶者控除が適用できないので、二次相続では相続税がかかることになります。

配偶者控除を活用して一次相続のときに配偶者が取得分を多くしすぎると、二次相続で対象となる相続財産が増えてしまいます。一次相続のときから二次相続を考慮した遺産分割を行うなどの対策をしておく必要があります。専門家に相談されると、こういったシミュレーションが可能です。

二次相続税対策としては、子を受取人とする生命保険に加入する方法があります。死亡保険金には、法定相続人1人につき500万円の非課税枠が設けられています。たとえば、子が2人の場合では1,000万円が非課税となります。

また、一次相続で遺産を相続した配偶者が、子に生前に贈与をする方法もあります。生前贈与とは、生きている間に財産を贈与することをいいます。生前贈与すると、相続時の財産を減らすことができるので、相続税対策として活用できます。

小規模宅地等の評価減

亡くなった人が自宅として使っていた宅地であれば、「特定居住用宅地等」の特例が適用になります。

「特定居住用宅地等」とは、亡くなった人が自宅として使っていた宅地等に対する特例です。その宅地等を相続または遺贈により取得した親族は、一定の要件を満たせば、その宅地等のうち330㎡までの部分について評価額を80%下げることができます。

親族の一定の要件とは以下の通りです。

  • 配偶者
  • 同居親族
  • 別居親族(家なき子)

同居親族とは、相続発生時(死亡時)に被相続人と同居していた親族のことをいいます。同居とは、生活の拠点が同じであることです。住民票が一緒であったとしても、同居の実態がなければ特例は使えません。

別居親族(家なき子)については、宅地等を相続した親族が相続開始前3年以内に、その親族やその親族の配偶者・3親等内の親族・同族会社等が所有する家屋(相続開始直前に被相続人が住んでいた家屋を除く)に住んだことがないこと、などの要件がいくつかあります。この特例は、3年以上借家暮らしをしている親族を対象にしていることから「家なき子特例」と呼ばれています。

具体例を考えてみます。

亡くなった人が自宅として使っていた宅地(評価額8000万円、面積400㎡)の相続において特例を適用した場合、330㎡までの部分の評価額を80%下げられます。なお、それを超える部分は通常の評価額で計算します。その結果、相続税評価額は8000万円から2720万円まで下げることができ、納税額を抑えられます。

また、評価額5000万円で面積250㎡の宅地の場合は、330㎡未満であるため、すべての宅地面積が評価減の対象となります。その結果、相続税評価額が5000万円から1000万円まで圧縮できます。

相続税において押さえておきたいポイントは、以上の3つです。税率については法定相続分に応ずる取得金額により異なります。土地の評価についてもさらに細かい規定がありますので、具体的にいくらかかるのか気になる方は税理士などの専門家にご相談されてみてください。

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