気がつけばもう師走半ばですね。先日、認定司法書士としての認定証が送られてきました。これを携えて、正式に司法書士として登録をすることになります。(これは私の勤務する事務所の方針であり、認定司法書士でなくても司法書士登録することは可能です。)より一層身が引き締まる思いでおります。
さて、今日は登録免許税に関する情報をまとめてみます。気になる費用にかかわることなので、参考にしていただけましたら幸いです。
登録免許税とは、主に不動産登記をする際にかかる税金です。登録免許税法により定められており、税率はケースによって異なります。
相続登記の際に必要な登録免許税の税率は、不動産価格(固定資産税評価額)の0.4%です。ただし、相続人以外の人が遺言によって取得した不動産を登記する場合の税率は2%となります。
相続における不動産価格は固定資産税評価額が基準になりますので、固定資産税の納税通知書を提出するのはこのためです。納税通知書とは春先に役所から郵送で送られてくる横長の通知書で、その中の課税明細に記載されている価格(評価額)を元にして、司法書士は登録免許税の計算をするわけです。
納税通知書を紛失したとしても、固定資産税評価証明書を役所で取得できますので大丈夫です。また、名寄帳といって、土地や家屋を所有者ごとに、固定資産課税台帳に登録してある資産の内容を一覧表にまとめたものにも評価額が記載されています。ただし、自治体ごとの発行になりますので、複数の自治体にまたがって不動産を所有している場合は、自治体ごとの名寄帳を用意する必要があります。
固定資産の持つ適正な時価を求めるため、「評価替え」といって3年毎に評価額は見直されます。(原則として3年間は据え置くこととなっています)。
固定資産税は、毎年1月1日を賦課期日として、その年の4月1日から始まる年度分の税として年税として課税されます。 年度をまたぐときは最新の評価額を調べる必要があります。
登録免許税が免除になるケース
先ほど、相続登記の際に必要な登録免許税の税率は、不動産価格(固定資産税評価額)の0.4%と書きましたが、次の2つのケースについては登録免許税が免除されます。
1.相続登記をする前に相続人が亡くなってしまった場合
2.相続する土地の価額が100万円以下の場合
法務省HP相続登記の登録免許税の免税措置について https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000017.html
平成30年度の税制改正により、登録免許税の免税措置が設けられ、さらに、令和4年度の税制改正により、免税措置の適用期限が令和7年(2025年)3月31日までに延長されるとともに、上記2.の免税措置の適用対象が全国の土地に拡充されました。
固定資産税が非課税の土地でも登録免許税はかかる
実務的に注意を要するのが、固定資産税が非課税の場合や評価額が0円と記載されている場合です。私道やごみ置き場などを共有している場合などによく見受けられます。また、団地などの集合住宅で、共有の敷地や公園がある場合なども多いです。地方の山林、原野にも非課税の土地は多く存在します。
固定資産税が非課税であっても、原則として登録免許税はかかります。ところが、納税通知書には評価額が記載されません。では、何を評価基準にするのでしょうか。
そのような場合には近傍宅地(類似)価格といって、隣接する宅地の1㎡あたりの評価価格をもとに算出することになります。近傍宅地の価額を調査するには、役所に問い合わせます。具体的には、市区町村の役所に評価対象地の固定資産税評価証明書の発行を申請し、備考欄に近傍宅地の1㎡当たりの固定資産税評価額を入れてもらうよう依頼すると記載してもらえます。
私道の場合は軽減される
このように、非課税の土地については「近傍宅地1㎡当たりの評価価格」×地積(〇㎡)=評価価格=課税価格となりますが、私道の場合は扱いが異なります。
「近傍宅地1㎡当たりの評価価格」×私道(現況地目が公衆用道路)の地積(〇㎡)×0.3=評価価格=課税価格となります。
不動産登記の登録免許税課税標準価額の認定基準について(法務局依命通達)
固定資産評価格のないものについては、近傍類似の土地の固定資産評価格を参考として定める額。ただし、公衆用道路については、近傍宅地の価格の100分の30に相当する価格を認定基準とする。
役所によっては、非課税の私道は評価証明書には記載しないところもあります。評価証明書に私道の記載がない場合は、非課税証明書を役所で取得します。非課税証明書を取得することによって、私道が現況課税で公衆用道路であることを証明します。
レアケースではありますが、近傍宅地価格を使わず、隣接する本地の価格を使うというケースもありました。どのように計算の根拠とするのかについて法令では定まっていません。各法務局がその決定権限を有しています。そのため、登記申請の前に予め法務局に照会をかけることもよくあります。このあたりの判断は実務経験がものをいう、ということを日々実感しています。