相続したくない土地を手放す方法4選

ツナグ相続

こんにちは。hanaです。

先週末、倉敷へ旅行に行きました。写真は一番の観光名所である美観地区です。所々紅葉も楽しめて、町屋を改装したホテルもとても趣があって、いいリフレッシュができました。

さて、今日のテーマは「土地を手放す」。相続のご相談のうち、このようなご相談が意外と多くて驚いています。

圧倒的に多いのが地方の土地、それも原野や山林です。いわゆる“原野商法”で将来的にリゾート開発されるという触れ込みの土地を買われた方が結構いらっしゃるのです。北海道ニセコ、那須、山梨に多いようです。

土地だけですと評価額も低く、固定資産税はほぼかからないので今までは放置していた方が大半でしたが、相続登記の義務化に伴い、早めに手放してしまおうとお考えの方が増えてきました。

放置していると所有者責任を問われる場合がある

原野や山林を放置することで思わぬトラブルが発生する可能性もあります。

植物や樹木の手入れを怠っていると隣地に侵食したり倒木したりして周辺に迷惑をかけるでしょうし、管理義務違反も問われかねません。場所によっては土砂災害を起こしてしまう可能性もあります。

建物がある場合には定期的に窓を開けたり水を流したりしないと、建物も痛みますし、空き家を放置すると、倒壊や火災につながる可能性もあります。また、行政から「助言・指導」「勧告」を受ける場合があり、勧告を無視すると、固定資産税や都市計画税が増額されるほか、罰金が科せられる可能性もあります。

では、土地を手放すにはどのような方法があるのか、検討します。

1.相続土地国庫帰属制度を利用する

「所有者不明土地」が発生することを予防するため、相続又は遺贈(遺言によって特定の相続人に財産の一部又は全部を譲ること)によって土地の所有権取得した相続人が、一定の要件を満たした場合に、土地を手放して国庫に帰属させることを可能とする「相続土地国庫帰属制度」が創設されました。

相続土地国庫帰属制度は、令和5年4月から開始しています。

以下、法務省HPより抜粋↓

(1) 相続等によって、土地の所有権又は共有持分を取得した者等は、法務大臣に対して、その土地の所有権を国庫に帰属させることについて、承認を申請することができます。
(2) 法務大臣は、承認の審査をするために必要と判断したときは、その職員に調査をさせることができます。
(3) 法務大臣は、承認申請された土地が、通常の管理や処分をするよりも多くの費用や労力がかかる土地として法令に規定されたものに当たらないと判断したときは、土地の所有権の国庫への帰属について承認をします。
(4) 土地の所有権の国庫への帰属の承認を受けた方が、一定の負担金を国に納付した時点で、土地の所有権が国庫に帰属します。

ただし、この制度を利用するのは結構ハードルが高いと言われています。理由は、国の審査があり、承認されるにはいくつもの条件があるからです。

【引き取ることができない土地の要件の概要】

(1) 申請をすることができないケース(却下事由)(法第2条第3項)

 A 建物がある土地
 B 担保権や使用収益権が設定されている土地
 C 他人の利用が予定されている土地
 D 土壌汚染されている土地
 E 境界が明らかでない土地・所有権の存否や範囲について争いがある土地
 

 (2) 承認を受けることができないケース(不承認事由)(法第5条第1項)

 A 一定の勾配・高さの崖があって、管理に過分な費用・労力がかかる土地
 B 土地の管理・処分を阻害する有体物が地上にある土地
 C 土地の管理・処分のために、除去しなければいけない有体物が地下にある土地
 D 隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ管理・処分ができない土地
 E その他、通常の管理・処分に当たって過分な費用・労力がかかる土地

制度の運用が始まったばかりということもあり、実際に承認を受けたというケースはまだ聞いたことがありません。

2.自治体に寄付する

自治体ごとに定められた基準を満たす土地であれば、無償で引き取ってもらえます。

もちろん、必ずしも受け入れてもらえるとは限りません。寄付される土地を自治体が調査し、利用価値がないと判断された場合は受け入れてもらえない可能性は大いにあります。相続土地国庫帰属制度同様、ハードルは高いと言えるでしょう。

ただ、一部の土地について寄付を受け入れてもらえた、というケースがありました。気になる方は、管轄の自治体にお問い合わせされてみてください。

3.相続放棄する

相続放棄をすると、不要な不動産を処分することが出来ますが、その他のメリットやデメリットがあるため慎重に判断しなければなりません。

相続放棄をすると、現金などのプラス財産も相続できなくなり、後日の撤回も認められなくなります。また、一部でも財産を処分してしまうと相続を認めたことになるため、相続放棄できなくなります。

そもそも相続放棄には期限が定められており、相続開始を知った日の翌日から3カ月以内に家庭裁判所で手続きしなければなりません。大概の場合、すでに相続放棄ができる期間が過ぎてしまっていることが多く、現実的ではないかもしれません。

4.不動産業者に引き取ってもらう

不動産会社の中には、全国各地のき家・山林・原野・雑種地・別荘地・底地・池沼・墓地・空き家・再建築不可・未接道地・共有持分など、幅広く引き取りサービスをしている会社があります。

ただし、無償ではありません。こちらが引取り料を支払う必要があります。物件の状況によって大きく変動しますが、40万~100万円程度が相場のようです。不動産会社としても長年にわたり費用をかけて管理していく必要があるため、このような相場になるようです。

引き取ってもらうのにお金がかかる、ということで躊躇してしまうお気持ちも分かりますが、放置し続けるわけにはいきません。いずれ発生する相続登記の手間とコストを考えれば、早めにすっきりさせた方が安心ともいえるでしょう。

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