労働問題①時間外労働

司法書士のリアル

本格的な梅雨入り、湿気が鬱陶しいですが、庭の紫陽花が鮮やかでです。地植えして2年めのアナベルも、急成長して次々に花芽をつけてくれました。立ち枯れてドライになるまで長く楽しめそうです。

さて、今日は労働問題について基本的な知識をまとめます。

法定労働時間および時間外労働協定(36(サブロク)協定)とは

労働時間は労働基準法で定められています。

  • 使用者は、原則として、1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけません。
  • 使用者は、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えなければいけません。
  • 使用者は、少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければなりません。

勤務時間が9時〜18時だとすると、休憩時間の1時間を引いた8時間労働となるので、18時を過ぎた労働については割増賃金を請求できます。

法定の休日は最低週1日なので、土日のどちらかに出勤しても法定外労働とはなりません。ただし、週に40時間を超えるようであれば、超えた時間につき割増賃金を請求することができます。

週休2日制をとっている会社であれば、そのうち1日の出勤のみであれば割増賃金は請求できませんが、1か月分の給与に1日分の給与を加算して支払う必要があります。

時間外労働には限度が定められており、臨時的な特別の事情がなければ、原則として1か月45時間、1年360時間を超えないものとしなければなりません。

例外として、労働者の過半数で組織する労働組合か労働者の過半数を代表する者との労使協定において、時間外・休日労働について定め、行政官庁に届け出た場合には、法定の労働時間を超える時間外労働、法定の休日における休日労働が認められます。この労使協定を「時間外労働協定」といいます。なお、時間外労働時間には限度が設けられています。

時間外労働協定は、労働基準法第36条に定めがあることから、一般に「36(サブロク)協定」とも呼ばれています。

働き方改革により、臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、以下を超えることはできなくなりました。

  • 年720時間以内
  • 複数月平均80時間以内(休日労働を含む) 「2か月平均」「3か月平均」「4か月平均」「5か月平均」「6か月平均」
  • 月100時間未満(休日労働を含む)

※上記に違反した場合には、罰則(6か月以下の懲役または30万円以下の罰金)が科されるおそれがあります。

残業代は下限が定められている

割増賃金についても労働基準法で定められています。

法定労働時間(1日8時間・1か月40時間)を超えて勤務させたとき時間外労働の内、
1か月60時間までの部分
25%以上
時間外労働の内、
1か月60時間超える部分
50%以上
法定休日に勤務させたとき35%以上
深夜(22時から5時までの間)に勤務させたとき25%以上
深夜(22時から5時までの間)に時間外労働をさせたとき(1か月60時間まで)

50%以上
深夜(22時から5時までの間)に時間外労働をさせたとき、その内、1か月60時間を超える部分75%以上
法定休日の深夜(22時から5時までの間)に勤務させたとき60%以上

会社が残業代の支払いに応じてくれない場合、労基署の個別紛争解決制度の利用や労働組合に加入して会社と交渉するほか、民事調停の申立て、ADR(裁判外紛争解決手続)の利用を検討します。

その際、証拠資料を集めるわけですが、就業規則、タイムカード、会社の保存する賃金台帳を準備します。就業規則が確認できない場合、管轄する労基署に行けば就業規則を閲覧させてくれます。

次回は、会社の倒産、破産による未払賃金の請求についてみていくことにします。

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