4月を迎え、新生活を始められた方も多いことでしょう。我が家も高校生が大学生になり、大学生が社会人になりました。4月1日はまさかの気温1ケタで大雨、入学式の季節にしてはかなり寒くてちょっと身体にこたえましたね・・徐々に暖かくなってくれるといいですが。
3月末は月末かつ年度末。司法書士界隈においては1年で一番の繁忙期となります。引越しシーズンで不動産売買が多いのと、不動産会社の期末にあたるからだと思われます。私も病み上がりの身体を押して、3件の決済を担当しました。大手の決済メインの司法書士事務所などは1日何件もの決済をハシゴするようです。昨年は登記のオンラインシステムがダウンし、各所の法務局で混乱が発生しましたが、今年は無事に終えることができて安堵しています。皆さまお疲れさまでした!
さて、4月1日から法改正による新法施行、となることはよくあります。登記に関しては今年度は改正はありませんが、来年の4月1日から変わる制度があります。施行までちょうど1年となりましたので、ここでお知らせします。
令和8年4月1日から、不動産の所有者は、住所や氏名・名称の変更日から2年以内に変更登記をすることが義務付けられました。登記簿上の所有者に適用がありますので、所有権以外は対象外です。個人、法人ともに義務化の対象となります。
正当な理由がないのにもかかわず、この義務に違反した場合は、5万円以下の過料(行政上のペナルティ)の適用対象となってしまいます。
法務省が提唱する「スマート変更登記」とは
義務化の背景として、所有者不明土地の問題があります。住所や氏名の変更登記がなされないまま放置されてしまうと、登記簿を見ても所有者の住所・氏名が分からない土地が発生してしまいます。そのような所有者不明土地の発生を防ぐことを目的として、住所等の変更登記の申請が義務化されることになりました。
住所移転したり、結婚によって氏名が変わったりすると変更登記をしなければならないことになりますが、役所などの行政サービスとは異なりますので、登記所へ出向いたり司法書士へ依頼したりしなければなりません。
そこで、住所等変更登記の申請義務化に伴い、変更登記の手続きの簡素化や合理化を図ることを目的とする仕組みが導入されることになりました。この仕組みでは、登記官が他の公的機関から登記簿上の所有者の住所の異動情報を取得することができるようになります。そして、その情報に基づき、登記官が職権で住所等の変更登記をすることが可能となります。この仕組みは、自然人(個人)と法人の両方に導入されます。
法務省のHPに次のように記載されています。
かんたん・無料の手続をしていただければ、その後は法務局で住所等変更登記をすることとし、住所等の変更があるたびにご自身で登記申請をしなくても、義務違反に問われることがなくなります。この、法務局が職権で住所等変更登記をするサービスが「スマート変更登記」です。
「検索用情報の申出」をしていただければ、スマート変更登記が利用できます。申出の後に住所や氏名の変更があった場合は、法務局において住所等の変更の事実を確認して、ご本人の了解を得た上で、職権で変更登記をします。
【検索用情報の申出をした後の変更登記までの流れ】
(1) 法務局が定期的に住基ネットに照会して住所等の変更の有無を確認
(2) 住所等に変更があった方に対し、変更登記をしてよいかを確認するメールを送信
(3) 変更登記をしてよい旨の回答があった方について、順次、変更登記
※全体イメージ図はこちら(職権による住所等変更登記の手続イメージ(自然人の場合))[PDF:184KB]
住基ネットを利用し、住民票データに登記官が【検索用情報】を用いてアクセスできるようになり、住民票と登記の連動が図られるようになるというものです。
【検索用情報】とややこしい名前がついていますが、氏名、氏名の振り仮名(外国人にあってはローマ字氏名)、住所、生年月日、メールアドレスのことを指します。
「検索用情報の申出」とは、氏名、氏名の振り仮名(外国人にあってはローマ字氏名)、住所、生年月日、メールアドレスを法務局へ届け出ること、です。「検索用情報の申出」ですが、所有権の登記をした時期により方法が異なります。
令和7年4月21日より前に所有権の名義人となっている場合の申出方法
令和7年4月21日以降、「かんたん登記申請」のページから、「検索用情報の申出」の手続を選択いただき、画面上の案内に従い、所有者の生年月日、メールアドレス、不動産の地番等の情報を入力いただくことなどにより、Webブラウザ上で申出ができます。なお、電子証明書は不要です。
書面で申出をする場合には、次の記載例・様式を参考にして申出書を作成し、不動産を管轄する法務局に提出してください。
管轄の異なる複数の不動産を所有している場合、その不動産のうちいずれかの不動産を管轄する法務局にまとめて申し出ることができます。
令和7年4月21日以降に所有権の名義人となる場合の申出方法
登記の申請書に、新たに所有者となった方の氏名、住所に加え、氏名の振り仮名、生年月日、メールアドレス等を併せて記載して申請することで申出ができます。
つまり、売買や相続による所有権移転登記や所有権保存登記をする際に、併せて司法書士から登記を申請することになります。
このように、4月21日から登記に関して新しい制度が始まることになります。あと3週間弱ですね。お客様へも随時ご案内していきます。登記の際に生年月日やメールアドレスを尋ねられたら、この制度のためのものだとご理解いただければと思います。